全日本吹奏楽コンクールに5大会連続出場が決まった東海大大阪仰星高校吹奏楽部(大阪府枚方市)。コンクールメンバー55人は13日、学校で、10月に開かれる全国大会(会場;宇都宮市文化会館)へ練習に力を込めていた。
メンバーの中で「バンドの花形」とも呼ばれるトランペットのトップ奏者を務めるのは、3年生の小畠美羽。メンバー入りは今回が初めてだ。
中学校の吹奏楽部は強豪ではなかったが、コンサートなどで聴いた東海大大阪仰星の演奏に憧れて美羽は入学を決めた。
だが、入部早々、東海大大阪仰星の先輩たちのうまさに圧倒された。メンバーを選ぶオーディションを前にして、「これは勝ち目がないわ……」と諦めた。中には同じ1年生でもメンバーに選ばれた部員がおり、美羽は内心うらやましく思いながら練習を続けた。
2年生ではオーディションに挑んだものの、トランペット奏者10人の中でなんと最下位の成績。さすがにショックを受けた。
「1カ月くらいどん底の気分を味わいました。後輩にも負けたし、メンバーに選ばれた同期の子たちの顔を見るのもつらくて。『こんな思いするなら、部活やめたほうがいいんかな……』と思ったこともあります。このままやと3年間メンバーになれんかもしれん、という危機感もありました」
コンクールメンバーが全国大会に出場したときには、美羽は会場の名古屋国際会議場センチュリーホールにサポートメンバーとして同行。演奏する55人の様子を舞台袖から見守った。
「まぶしい光を浴びながらステージでいきいきと演奏しているメンバーの姿を見ると、『私もそっちにいたかった』と思ってしまい、大量に涙が出ました」
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一時期は退部すら考えた美羽だが、その後は一転して誰よりも精力的に部活に取り組むようになった。
顧問の藤本佳宏教諭は言う。
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吹奏楽作家のオザワ部長が各地の吹奏楽部を訪ねます。
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成長させたのは……
「部活動への思いと責任感が…